Jan 12, 2011

カードローン会社は大企業を選択しよう

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秋本俊二の“飛行機と空と旅”の話:
 大韓航空のエアバスA380が2011年6月17日朝、ソウルから成田に向けて離陸した。A380を運航するエアラインとしては世界で6社目だ。3クラス制(ファースト/ビジネス/エコノミー)の場合、標準で525席設置できるA380のキャビンを、大韓航空は各社と比べて最も少ないわずか407席でレイアウト。就航初便で体験したその世界一贅沢なフライトの様子をお伝えしよう。

【「空飛ぶ豪華ホテル」と呼ばれる大韓航空A380を写真でチェック!】

●わずか94席がアッパーデッキを独占

 エアバスのオール2階建て機A380は、すでにシンガポール航空、ルフトハンザ、エールフランス航空の3社が成田に乗り入れている。それぞれのキャビンを見ると、シンガポール航空が同じ3クラスで計471席、ルフトハンザが計526席、エールフランス航空が計538席。それらに比べて、大韓航空の407席というのは驚異的な少なさだ。

 メインデッキ(1階席)にファーストクラス12席と、その後方にエコノミークラス301席を配置し、アッパーデッキ(2階席)はすべてビジネスクラスが占めている。しかもそのビジネスシートは、わずか94席しか置いていない。何と贅沢なスペースの使い方だろうか。搭載したビジネスシートは、総額2億ドルを投資して2009年に誕生した長距離路線用のフルフラットシート「プレステージスリーパー」だ。それをソウルと成田を結ぶ短いフライトでデビューさせたことにも、正直驚いた。

 6月17日の就航当日は、仁川国際空港で一般の乗客の搭乗開始より15分ほど前に機内に入り、新しいシートやキャビンを取材・撮影させてもらった。まずはその詳細からレポートしていこう。

●1階席最前方のファーストクラス

 機内に足を踏み入れると、淡いブルーとベージュの明るい色づかいの内装が目に飛び込んでくる。2005年に、それまでの紺色と赤を基調とした企業カラーが一新され、客室乗務員の制服を含めてすべてリニューアルされた。

 まずはメインデッキ最前方に置かれたファーストクラスへ。「コスモスイート」と呼ばれる独立型のシートが、横1列「1-2-1」の4席で3列、計12席でレイアウトされている。シートピッチ(座席の前後間隔)は83インチ(211センチ)、シート幅は27インチ(68.6センチ)とゆったりしたつくりで、就寝時にはワンタッチで快適なフルフラットベッドになる。正面にある液晶スクリーンは23インチの大型サイズ。シート周りの収納スペースも十分な広さが確保されていた。

 ファーストクラスは、トイレにも窓があって光が差し込み、明るく開放的だ。

●2階席にも開放的な空間が広がる

 メインデッキのファーストクラス後方には、エコノミークラスのシートが3つのブロックに分けてレイアウトされた。横1列のシート配列は「3-4-3」の10席で、トータル301席。3つに分かれたブロックのうち、手前の2つのブロックでは青いシート地の座席が、後方の1ブロックには茶色のシート地の座席が並んで、見た目にもおしゃれだ。シートピッチは34インチ(87.4センチ)と、こちらもエコノミークラスとしては広め。背もたれは最大118度までリクライニングし、前のシートの背には10.6インチの個人用モニターが設置されている。

 続いて、機体後部の螺旋階段を上がってアッパーデッキへ。そこはビジネスクラスだけで設計されたラグジュアリー空間だ。「プレステージスリーパー」と呼ばれるフルフラット型のビジネスシートが計94席設置されている。

 前日に成田からソウルへのフライトで利用したボーイング777では、同じシートが横1列「2-3-2」の7席でレイアウトされていたのに対し、その一回り大きなA380では1席少ない「2-2-2」の6席での配列だ。シート幅は21.6インチ(54.9センチ)で、前のシートの背にある個人用モニターのサイズは15.4インチ。シートピッチも74インチ(188センチ)と贅沢なスペースがとってあり、キャビン全体に開放的な空間が広がっていた。

●就航を記念し便名も「KE380」に変更

 乗客の搭乗が始まった。ソウル発9時10分のこの便は、通常「KE701」という便名で運航されている。しかしこの日に限っては、A380の就航を記念して「KE380」の便名が付けられた。就航初便という貴重なフライトを体験しようと、乗客の多くが早い時期にチケットを予約し、この日を心待ちにしていたようだ。

 旅客機への搭乗はふつう、上級クラスの乗客から優先的に案内されるが、最近はヨーロッパなどの空港で“逆転現象”が起こり始めている。上級クラスが後回しにされ、エコノミーの乗客を優先する──という搭乗スタイルだ。理由は、上級クラスの乗客から「先にシートに座らされてほかの乗客が乗ってくるのを待つより、時間ぎりぎりまでラウンジでのんびりしていたい」という声が増えたこと。上級クラスでは機内でシャンパンなどのウェルカムドリンクがサービスされるが、いまは空港ラウンジが充実し、シャンパンどころかビールもワインも置いてある。出発までラウンジでくつろぎたいというのは当然の要望かもしれない。

 とくにオール2階建て機であるエアバスA380は乗客数が多いため、運航するエアラインは、搭乗開始を出発予定時刻の50分くらい前に設定しているケースが少なくない。そのぶん、先に乗った人はいままで以上に長い時間、機内で待たされることになる。

●3つのボーディングブリッジが機能

 大韓航空でも、KE380便に関してはやはり搭乗開始時間を早めるのか? そう思っていたら、仁川国際空港での搭乗開始は通常便と同じ出発のきっちり30分前という設定だった。それで出発が遅れることもなく、搭乗はじつにスムーズ。A380を運航する各社のキャビン設計が500席前後であるのに対し、大韓航空は407席と100席ほど少ないことももちろん理由の1つだ。しかしもっと大きな秘密が、同空港の搭乗ゲートに隠されていた。

 仁川国際空港の指定された「10番ゲート」を抜けると、そこから3本のボーディングブリッジがするするっと機体のドアに伸びている。1本目はメインデッキ前方のファーストクラスキャビンのドアへ、もう1本はその後方のエコノミークラスのドアへ、そして残る1本はアッパーデッキにあるビジネスクラスのドアへ。つまり、それぞれのクラスに乗客がダイレクトに入れるようにしたのだ。

 そうすることで、通路での人の渋滞も解消。広いキャビンで通路もゆったりとってあるため、頭上のラックに荷物を入れ込む乗客の横を、あとから来た乗客が通り抜けていく。搭乗開始後、間もなくドアがクローズされ、A380の就航初便はトーイングカーにプッシュバックされて予定の時間にゲートを離れていった。

●類いなき静寂性に驚きの声も

 KE380便は9時30分に仁川国際空港を離陸した。キャビンスペースの広さからくる快適性もさることながら、A380はとにかく静かだ。旅客機の騒音の大部分は、主翼に取り付けられたエンジンの排気音が起因している。A380は主翼の先端から先端までが約80メートルもあり、エンジンがキャビンから見て遠い場所に設置されているため、音がキャビンに伝わりにくい。またボディの外板と内壁の防音処理や、新しい吸音材の研究に、エアバスは多くの時間と労力をかけて取り組んできた。もちろんエンジン自体も、静寂性を追求して開発されている。

「おい、いつの間にか動き始めているぞ!」

 私のうしろの席にいた韓国からの2人組のそんな声が聞こえてきたのは、滑走路に向かってタキシング(地上走行)しているときだった。揺れが少なく、キャビンにはエンジン音もほとんど響いてこないため、タキシングを始めたのにも気付かなかったのだろう。しかも私の席は、主翼のちょうど後方だ。いつもなら最も騒音に悩まされる位置なのだが、後部席の2人の会話が自然に耳に入るという事実が、A380のも静寂性を何よりも物語っている。

●機内食の“オスカー”受賞の人気メニュー

 離陸して40分。上昇飛行から水平飛行に移ってしばらくすると、機内でミールサービスが始まった。

 大韓航空の機内食メニューは、エアラインファンの間でも定評がある。なかでも“名物”として知られるのが「ビビンバ」だ。ごま油の香りとコチュジャンの辛さが食欲をそそる同メニューは、いまから20年前に提供をスタート。現在は仁川国際空港からの出発便だけで1日に4000食が搭載され、利用者の6割近くがチョイスする人気メニューに成長している。機内食の“オスカー”ともいわれる「マーキュリー大賞」も同メニューで受賞した。

 さて、KE380便では朝9時10分の出発ということもあり、軽めのブランチのメニューが用意されていた。メニューリストにあるのは、海の幸の入ったテンジャンチゲにご飯のセットと、モッツアレラチーズとトマトのキッシュの洋食セットの2種類。私は迷うことなくテンジャンチゲをオーダーした。機内食は、そのエアラインの“お国柄”を反映したメニューに限る──それが私の持論である。

●免税品展示コーナーが機内に出現

 A380のキャビンはとにかく広い。就航前からよく言われていた「空飛ぶ豪華ホテル」という表現がぴったりだ。大韓航空はこのスペースを有効利用する試みとして、機内に2つのユニーク施設を設けた。

 1つは、メインデッキ最後部につくった免税品の展示コーナーである。「デューティーフリーショーケース」と名付けた同コーナーに、化粧品や香水、アルコール類、アクセサリーなど幅広い商品を展示し、専任の客室乗務員を1名配置。どのクラスの乗客も利用でき、乗務員に相談しながら、気に入ったものが見つかれば座席に戻って機内販売でオーダーするという仕組みだ。

 離陸後、担当乗務員が陳列棚に商品を並べていく様子を見学させてもらった。ウイスキーの瓶などは、揺れたら倒れてしまうのではないか? そう思って聞くと、彼女は商品サンプルの底の部分をこちらに向けてニコッと笑う。陳列棚に固定できるよう、商品の底に磁石がつけられているのを知って、なるほどと感心した。

●ラウンジは乗客同士の交流の場

 またメインデッキとアッパーデッキの階段横のスペースには、それぞれファーストクラスとビジネスクラスの乗客が利用できる機内ラウンジを設置した。いわば、乗客同士の交流の場である。ラウンジにはテレビモニターやバーカウンターも置かれている。

 免税品の展示コーナーと同様、ラウンジのバーカウンターにも専任の客室乗務員が常駐。KE380のバーカウンターを担当していた乗務員は「スウェーデンに派遣されてバーテンダーの研修を受け、資格をとりました」と話す。メニューリストを見て好きなカクテルを注文すると、慣れた手つきでシェーカーを振り、目の前で“プロの技”を披露してくれた。

 ラウンジでくつろいでいるときに、気流の影響で飛行機が揺れたりしても、慌てて座席に戻る必要はない。安全性を第一に考え、ソファーにもシートベルトが設置されている。食事を終えてから着陸態勢に入るまでのほとんどの時間を、私はラウンジで他の記者や大韓航空の広報関係者らと歓談しながら過ごした。

●流ちょうな日本語を操るクルーたち

 フライト中、機内で何人かの乗客に簡単なインタビューを試みた。この日の便に狙いを絞って早くからチケットを手配した人もいれば、A380の就航初便と知らずに乗っていた人も。大韓航空のサービスに対する感想を語ってくれた人も少なくない。

 「海外にはときどき出張に出ますが、英語が苦手なため、どうしても日系の航空会社を使うことが多くなる」と話してくれたのは、生産管理の仕事についているという日本人技術者(56)だ。「外国の航空会社でも日本線には日本人乗務員が乗っていますが、各便にせいぜい1人か2人でしょう。何か頼みたくても、いちいちその人たちを呼ぶのは面倒です。その点、大韓航空は利用しやすいですね。日本人乗務員もほかより多いですし、韓国人の乗務員もちゃんと日本語で対応してくれる。私みたいな人間にはありがたいですよ。みんな、どこで言葉を勉強するのでしょうかね?」

 たしかに。彼女たちは、どこでどんなふうに訓練を受けているのか? そのことを知りたくて、私は以前、ソウルの客室乗務員訓練センターを訪ねたことがある。

●言葉によるサービスは何よりも大切

 広報スタッフの1人に案内され、語学レッスン室などが並ぶ乗務員訓練センターの2階フロアへ上がると、日本語の単語を合唱する声が奥の教室から聞こえてきた。近寄って、廊下側の窓からそっと中を覗いてみる。

「ご覧になりますか?」

 レッスン中の教室からそう声をかけてくれたのは、韓国人訓練生たちへの日本語教育を担当している日本人専任講師のSさんだ。広報スタッフとともに教室内へ入ると、レッスンが再開された。日本語での挨拶の基本から、乗客に何かをリクエストされた場合の返事の仕方、訓練生同士がクルー役と乗客役に分かれてのロールプレイングなどが進められていく。Sさんはときどきユーモアを交えて教室を盛り上げるため、訓練生たちはみんなとても楽しそう。

 「言葉によるサービスは何よりも大切だと私たちは考えています」と、Sさんは言う。「訓練生たちも、日本人のお客さまに日本の言葉でサービスできるようになろうと、みんな一生懸命です。教えていて、とても張り合いがありますよ」

 大韓航空は2011年6月現在、日本の15都市/24路線へ週253便を運航し、日韓両国の文化やビジネスの“掛け橋”としての役割を果たしている。国内15都市への就航というのは、外国エアラインの中ではもちろん最多だ。乗務員への熱心な日本語教育も、同社が日本を戦略上の最重要マーケットと位置付けている表れだろう。教室では、Sさんが発する1つひとつの日本語のリピートを訓練生たちが繰り返している。その明るい元気な声は、教室を出たあとの廊下にいつまでも響きわたっていた。

●放水のアーチで就航便を歓迎

 雲は多めながら青空も見えていた仁川国際空港とは一転、東京に近づくにつれて厚い雲が覆いはじめた。離陸から1時間20分が経過し、KE380便はすでに滑走路南側からアプローチに入っている。地上からの情報では、成田上空の天候はあいにくの雨。この日は結局、1日中降り続いたが、午前11時を回ったときだけ雨は奇跡的に上がった。

 定刻より少し早く、午前11時10分に成田空港のA滑走路にタッチダウン。鮮やかなスカイブルーで塗装された大韓航空のA380を一目見ようと、展望デッキやターミナルビルには大勢の人が詰めかけている。着陸後、26番スポットに近づくと、両側に待機していた消防車から勢いよく水が放たれ始めた。就航便恒例の放水アーチによる歓迎だ。

「何だか、あっけないフライトだったね」

 機内の通路で列をつくってドアが開くのを待つ乗客の中から、そんな声が漏れた。同感である。A380でのゴージャスなフライトを、実際に上空で過ごせる時間としては正味1時間40分しか味わえないのはもったいない気がする。

●秋以降はアメリカ西海岸線でバトル

 大韓航空はA380を計10機発注している。その受領予定は、2011年中に5機、2012年に1機、2013年と2014年に各2機ずつだ。1号機は現在、成田からソウルへ、さらにソウルから香港へ飛び、夜間フライトで香港からソウルに戻り再び成田へというフル稼働の状態が続いている。今後2号機、3号機と受領を進め、7月にバンコク、8月にニューヨーク、9月にパリ、10月にロサンゼルスへと就航先を拡大していく計画だ。

 A380を世界で最初に就航したシンガポール航空も、2011年7月1日から成田/ロサンゼルス線にA380を投入すると発表した。日本とアメリカが、初めてA380で結ばれることになる。米国西海岸は、日本からの旅行先として人気が高い。シンガポール航空のA380就航を歓迎する一方で、いまから大韓航空のソウル/ロサンゼルス線へのA380導入を心待ちにしているファンも多いのではないか。前述したように、大韓航空は日本の15都市に就航している。首都圏の利用者は成田から飛べるが、地方都市で暮らす人たちにとっては仁川は重要なハブであり、仁川を経由して欧米を旅行する人が少なくない。

 多くのファンから根強く支持されるシンガポール航空と、日本人旅行者に最も身近な外国エアラインである大韓航空と──2011年10月以降は米国西海岸への旅をめぐって、両社の熱いバトルが始まることは間違いない。

【秋本俊二,Business Media 誠】
(写真撮影:チャーリィ古庄)


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